コンサルタントは話す力と書く力が必要です。もしスキルを伸ばすなら、この2つのスキルを伸ばしたいところです。
この2つのスキルは両輪ですが、話す力が伸びれば書く力が自動的に伸びるわけではありません。その逆も同じです。そうではなくて、話す力が伸びてくると、書く力を上げる力が伸びてくるというイメージです。それは、アウトプットが得意になってくるからです。
楽しい方が力は伸びる
私も別に話が上手くなりたくてセミナーを続けてきたわけではないんです。セミナーを20代で始めたのは、とにかくブランドを持ちたかったから。あの人はすごいと言われるようになりたかったので、セミナーの受講者側から講師側にならなければと考えました。だから、セミナーのやり方にこだわりはなく、とにかく時間を埋めて、役に立つことをすればいいと考えていました。
受講者の方から「勉強になるけど面白くない」と評価されることもありましたが、その意識が少し変わったのは、あるきっかけからです。
昔、社員と一緒にある有名なコンルタントのセミナーに一緒に行ったことがありました。ところがそのセミナーが期待外れだった。なぜかというと、触れ込みのテーマと中身が全然違っていたからです。セミナー自体は良くても、思っていた内容ではなかったので「騙された」とすら思ってしまいました。
セミナーが終わってそのことを社員と話していたときに、「◯◯先生(そのコンサルタント)って全然違うことを話してましたけど、本人はすごい楽しそうでしたよね」という話になって。横須賀さんも楽しそうにやってみたらどうですか、と言われて初めて、セミナーを楽しくやってみるのも悪くないな、と思いました。少なくとも、講師である自分が楽しそうにやった方が参加者も元気付けられるんだなと。
そこで、話すことに関して自分の意識や進め方が変わっていきました。楽しくやろうと決めてからは、いただく評価も変わってきています。
アウトプットが上手くなるためにはインプットを増やすこと
アウトプットは自分の中からしか出ないものなので、アウトプットを上げるためにはインプットを増やすしかありません。そして、どんな形であれインプットしたものを定期的にアウトプットする場所を作ることが一番近道です。そうすることで、必然的にアウトプットはうまくなっていきます。
これは書く力にも繋がることで、多読してインプットが増えると自分の中のフレーズが増えていきます。良質な文を読むというのは、書く力を伸ばすトレーニング法としてよくいわれることですが、いい話を聞くことも話す力を伸ばすものです。
例えば一般的には、話し方が上手くなりたいなら落語を聞くといいといわれます。落語は話の間が洗練されているんです。誰でも事実を羅列するとか、淡々と話すことはできる。でも、上手な間を空けながら話すのはなかなか意識してもできません。そこで落語なんですね。
何度も聞いて、丸暗記するくらいの方が上手くなると思います。基本は真似るところから始まりますから。桂枝雀や綾小路きみまろといった芸人さんの喋りは上手なので、そういうものも自分の話す力を伸ばす上で参考になるでしょう。
伝えたい事を伝える書き方、話し方
フレーズの多さは語彙の多さでもありますが、そもそも自分の中になければ表現辞典や類語辞典を使うとか、良質な文書を読んでいくことがトレーニングにつながります。話すことと同じで、自分の中にあるものしか書けません。
このインプットというのが本当に大事です。ビジネス本の著者も数多くいますが、ずっと出し続けられる人はそんなに多くない。デビュー作とか初期の頃に出した本は、洗練されてないんですが、それがだんだん普通になっていく。本を出し続けている人でも、この人の文書は洗練されてきたなと思える人って本当に少ない。
どうしてもその人の色が出ます。何冊も出版しているのに成長を感じられないというのは、インプットが止まってるからだと思います。ただ、より洗練された書き方の方が相手に響くかというとそうではありません。洗練よりもパワーとか気持ちの方が必要です。自分の意思や思い、感情を伝えることが、綺麗にまとめるよりも一番相手に伝わります。
最初の頃は話すにせよ書くにせよ、上手ではありません。そこでどうするかというと、多くの人はテクニックを学びます。そうすると今度はテクニックに走ってしまって、思いが乗らなくなってしまう。その結果、うまいけど伝わらない文章ができてしまう。これはよくあります。これは、一段階目です。その次の領域は、自分が伝えたいメッセージや思いに最適の表現を見つけられるようになる段階です。
それは表現だけではなくて温度感だったり、話す力なら間や声の大きさ、身振り手振りや服装まで含めて、自分が伝えたいことに適した表現方法を取捨選択ししていけるようになれば、第一段階はクリアして次に進んだということです。
横須賀輝尚
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DATA:
32歳(男性)東京都出身/現在の仕事はウェブデザイナー/
22歳から26歳までビジネス什器の営業を担当/
26歳から31歳までIT系企業でウェブ制作を担当/
32歳で独立開業
メイン商材:ウェブ制作、バナー等デザイン業務