一般的にコンサルタントは「クライアントに何か知識やスキルを教えるもの」と考えられがちですが、実際のところはそれだけでは足りないケースがほとんどです。ある意味矛盾しているように見えるかもしれませんが、ただ教えるだけでは足りないのです。その理由は簡単で、どんなに優れた知識やスキルであっても、クライアントが求めていなければ、その回答は意味を大きく失ってしまうのです。
例えば、「社員数が増えすぎて、支持命令系統がうまく機能せず、社内が混乱している」という社長の相談があったとしましょう。文章だけでこれを見れば、人事制度の見直しや研修の導入、理念をつくって浸透させるなど、様々な対策が思いつきます。しかしながら、実際のコンサルティングの現場では、「社長が発した言葉が、本音の相談かどうか」はわからず、見極める必要があるのです。本当にテクニック的に、制度的に困っているのであれば、そうしたアドバイスをするのが良いでしょう。しかし、現実問題としては、社員が増えたこと(自らの力で増やせたこと)をねぎらって欲しいだけかもしれない。つまり、クライアントには感情があるわけです。そういったところを見極めないと、一見良いアドバイスをしたようにみえても、手応えがまったくない、なんてこともありえます。
ですから、クライアントが本当に求めているものは何か?それを面談等の中で探していくことが必要なのです。そのために必要なスキルとして、コーチング等の質問スキルや経験を積み、「雰囲気」等で感じることのできる能力が必要になってきます。感じられるかどうかについては、非常に抽象的なことになりますが、まずは場数が必要です。中にはこれが得意な方もいれば、そうでない方もいると思いますが、そういったことに気付こうとする姿勢がなければ、満足のいくコンサルティングをすることはできないのです。重要な質問は、「クライアントは、なぜ今このタイミングで、この相談を持ちかけたのか?」ということになります。
(執筆:横須賀輝尚)
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DATA:
32歳(男性)東京都出身/現在の仕事はウェブデザイナー/
22歳から26歳までビジネス什器の営業を担当/
26歳から31歳までIT系企業でウェブ制作を担当/
32歳で独立開業
メイン商材:ウェブ制作、バナー等デザイン業務