大規模のセミナーを上手くこなすには、やはり経験がものをいいます。私が初めて開いたビジネスセミナーは8人参加の2時間のセミナーでしたが、それでも非常に緊張しました。リハーサルをしっかりして準備をして臨んでもリハーサル通りにはいかず、時間配分が大きく狂ってしまったりもしました。
今はほぼ緊張はしなくなりましたが、それはやはり自主開催で600回以上やってきたことが大きいと思います。私は話し方が上手か下手かというよりも、話のネタの連想が得意です。この話をしたらこの話がいける、というような連想ができるので、話が途切れずにセミナーを回してこられたところも、自分の特性の一つといえるでしょう。
100人を超えるとあまり関係なくなる
セミナーの規模としては、20人から50人が1つの壁です。ただ、100人を超えたら、実は何人でもあまり変わりません。それは、セミナーの最中に人数を数えられないからです。100人と200人の差というのは、会場に入ってしまうともうわかりません。
さらに言えば、3人掛けの席に2人ずつ座る100人の会場と3人掛けに3人ずつ座る100人の会場では、3人掛け3人の方が圧倒的に少なく感じます。100人という数字はそれくらい曖昧です。
私が昔依頼されて行ったセミナーでは、事前に聞いた話では参加者が100人くらいということでした。しかしセミナーが終わってから聞いた話では、参加者は2倍近い180人だったそうです。しかし講師としては、目の前に100人いようが、200人いようが、その差を認識することはほぼできません。
会場が変わらなければなおさらです。そのときは人数が大きく増えても会議室で行うことができましたが、これだけ人数が変わってくると会場が変わることがあります。中には数百人収容できる会議室もあるでしょうが、多くの場合、一定人数を超えると会場がホールになります。
ホールになると舞台があって、檀上から見下ろす形で話すことになるので、会議室で話すよりももっと緊張してしまいます。ただ、これもやはり経験です。
講師として1つステージが上がった瞬間
一つステージが上がったと自分自身で感じたのは2回あります。最初は、2006,7年くらい。当時の社員と、ある有名なコンサルタントのセミナーに参加しました。ところがそれが、事前の触れ込みと実際のセミナーでは全くテーマが違っているものでした。
内容は悪くなかっただけに非常に不満が残りましたが、同行した社員がこう言いました。「でも、講師の方すごく楽しそうですよね。横須賀さんも楽しそうにやってみられたらどうですか?」。
それを言われるまで、実は私には「楽しくやる」という発想は全くありませんでした。コンテンツをきちっと伝えさえすればそれでいいと思っていましたし、私にとってセミナーの時間は、辛くはないものの楽しむという類いのものではなかったからです。とにかく無事に早く終わってほしいと思うような時間でした。
ですが、社員の話を聞いた翌月か翌々月のセミナーで、初めて楽しくやってみようと試みました。その日から明確に変わったと思います。それから、セミナー自体をエンターテイメントの一部と考え、自分も楽しむ、会場に来ている人にも楽しんでほしい、そしてセミナーを役立ててほしいと考えるようになりました。
もう一つが技術的な部分です。私は2日間で計12時間にわたるセミナーを毎年やってきましたが、あるとき、その2日間を話しきったときに声が枯れなくなった時期がありました。それが、講師としてもうやっていけるな、と思った瞬間です。
やったことがある方は分かると思いますが、1日6時間話し続けるというのは大変なことです。普通は4時間くらいで声が枯れます。ところが、6時間やって、次の日も6時間やって、全く声が枯れずに普通にやれた。これは私としては大きな自信になりました。
補足ですが、毎年全国セミナーをやっていた時は、その年のベストセミナーを決めるようにしていました。何が良かったのか、何が悪かったのかを考えて、それを翌年の目安にしていました。
とにかくセミナーは、どれだけ場数を踏んだかに尽きます。これから大人数の前でセミナーをしたいと思っている方、すでに予定が入っている方はぜひ参考にしてください。
横須賀輝尚
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DATA:
32歳(男性)東京都出身/現在の仕事はウェブデザイナー/
22歳から26歳までビジネス什器の営業を担当/
26歳から31歳までIT系企業でウェブ制作を担当/
32歳で独立開業
メイン商材:ウェブ制作、バナー等デザイン業務