10年前、コンサルタントにとって出版は絶対必要なマーケティング・ツールであり、ブランディング・ツールでした。ある意味では3冊程度出すことが登竜門で、本を出していないコンサルタントは格下のような扱いがあった時期もありましたが、現在、出版の位置付けは大きく変わってきています。
まず、従来は重要なマーケティング・ツールでした。出版をし、資料請求をつけ、メールマガジン登録(古くはFAX送信)をし、自分自身のセミナーやコンテンツを販売するためのツール。本が現在と違い、多数売れる時期はこれが効果的でした。差し込みハガキ、差し込みチラシなどと呼んだりしていましたが、これによって顧客が獲得できたのです。そして、言うまでもなく出版することのブランディングには強烈なものがあり、「先生」と呼ばれるようになり、セミナーやコンサルティングの高額化を可能にしました。ところが、現在はそうもいきません。以前のように、本は売れないのです。
もちろん、有名なコンサルタントであれば、今でも本は売れるでしょう。しかし、過去のように何かのきっかけで無名コンサルタントの本が売れるほど、甘くない世界になっています。これは電子書籍でも同様で、電子書籍の時代になったからといって、爆発的に電子書籍が伸びているというわけでもありません。そもそも、読まないのです。では、コンサルタントにとって出版はもう無意味かというと、それは違います。
以前のようなマーケティング・ツールとしては弱くなってしまったといえますが、ブランディングとしてはまだ効果はあります。以前より本は出しやすくなったとは思いますが、それでも誰でも簡単に出せるともいい切れません。やはり、一定の選ばれた人、と評価されるわけです。ですから、自分のブランディングのためには重要なことだといえます。そして、何より重要なのが、本を書くことで自分の能力を伸ばすという意味を持っていることです。1冊の本を書き上げることは簡単なことではありません。やはり、誰しも大変なのです。そのため、コンテンツを磨き、事例を集め、執筆する。こうしたことをすることで、コンサルタント自身の実力が伸びていく。そういった隠れた意味合いの方が強いのではないかと思います。私自身、20冊近い本を出版していますが、コンテンツは書けば書くほど磨かれています。そういった意味でも、やはり出版は重要なのです。
(執筆:横須賀輝尚)
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DATA:
32歳(男性)東京都出身/現在の仕事はウェブデザイナー/
22歳から26歳までビジネス什器の営業を担当/
26歳から31歳までIT系企業でウェブ制作を担当/
32歳で独立開業
メイン商材:ウェブ制作、バナー等デザイン業務