今回は、コンサルタントを始めるときに最初の顧客ターゲットを誰にしたらいいか、というテーマについてです。
自分の成長度合いよりも前の段階にいる人をターゲットにすると楽
誰が言ったかはわかりませんが、「人は誰かの先生になれる」という名言があります。確かにその通りで、基本的には、自分の成長度合いよりも前の段階にいる人にコンサルティングをするのが一番楽です。
例えば私は行政書士ですが、行政書士の経営のアドバイスをするのであれば、これから開業する人にコンサルティングをするのが一番いいということ。全部において先生だからです。自分がライターなら、文章を書きたい、初めてきちんと書こうと思っている、というような人に対してなら先生になれます。恐れることもありません。
それに、年齢も関係ありません。たとえば相手が50歳でも、これから開業するという人には基本的に全部勝てます。もちろん社会人経験だったり、そういったところは勝てないにしても、「行政書士の開業」ということについては私の方が大先輩と言えます。
もうすこし薄めて、「個人事業で開業したい」という人もコンサルティングのターゲットにできます。たとえば相手が超有名人だったとしても、事務所に所属していて給料をもらっていたというような人は、自分で稼いだことがないので、どうあがいても私の方が先輩です。
このように、「自分より前の人にターゲットを置く」というのが一番やりやすい方法です。それにいろいろ教えやすい。コンサルタントとしても活動しているのであれば、コンサルタントになりたい人に対しても、自分が全部先生ですから、何でも言えます。
コンサルタントになったばかりでも始めやすいということなら、自分より前の人というのがいいですね。例えば「自分はIT業界にいたからIT業界向けのコンサルティングをする」というのでもいいですが、それだと自分より上の人がいたりするわけです。
IT企業向けのコンサルティングをしている人なんて大勢いるわけですから、やはり自分が通ってきた道の中で自分より前にいる人と言うのが一番いい。ですから、IT企業にいて、それでコンサルタントになったんだったら、IT企業のコンサルティングではなくて「IT企業を始めたい人」に対するコンサルティングがいい。それなら完全に先生になれる、ということです。
ターゲットはある程度間口を絞って設定する
ただ、あまり範囲が広すぎるとターゲットが絞れなくなります。たとえば「これから開業したい人」だと少し広すぎるので、ある程度間口を絞っていくのは大事です。逆に、自分より前だからといっても、狭くしすぎるのも良くありません。
また、出版をしたい人は多いものですが、原稿が書けるようになりたい人というのは、そんなに多くはありません。大量の文章を短期間で書きたいと思っている人はそんなに多くないんです。
私は本を書くのが早いので、どうやったら1日に一万文字書けるか、といったことを教えることはできますが、そもそもそれを欲しいと思っている人があまりいない。ですから、その辺のニーズやマーケットは見たほうがいいということです。
自分の力を伸ばすために、「ドキドキしながらやる」段階は必要
ただ、これだけだと自分の力も伸びていきませんので、ある程度は頑張る必要があります。私は天才塾という士業向けの経営スクールを10年以上運営してきていますが、厳密に言うと、私は行政書士の資格しか持っていないので、当然行政書士しかやってきていないわけです。
ですが、社労士にも司法書士にも税理士にも、弁護士にもコンサルティングをしてきました。基本的に、私は「資格は全部共通」という考えを前提にしているから、というところはありますが、天才塾1年目2年目を振り返ると、やはりそういった行政書士以外の士業の方に育てられてきています。
この期間は、私は行政書士としてはこういう風にやってうまくいったとしても、社労士として実践したかというと最初は実践していないわけです。相談に対して、一応の理屈で返す。それを天才塾の会員さんに実践してもらって、結果が出ていく。そして私も自信を持てる。
そういう意味では育てられていますし、こういったことがあるから、実力やターゲットが広がっていくんです。コンサルティングというのはずっと安心し続けてできるわけではなくて、やはり「少しドキドキしながらやる段階」が必要なのだと思います。
横須賀輝尚
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DATA:
32歳(男性)東京都出身/現在の仕事はウェブデザイナー/
22歳から26歳までビジネス什器の営業を担当/
26歳から31歳までIT系企業でウェブ制作を担当/
32歳で独立開業
メイン商材:ウェブ制作、バナー等デザイン業務