私は天才塾で「通信コンサルティング」という形で長らくメール相談を行ってきました。最近はLINEやChatWork、Talknoteといったチャットシステムがコミュニケーションの主流になってきていて、メールは限られた連絡手段になりつつあります。
ただ、チャットツールを本格的に使っている年代は20代、30代が主流です。それよりも年代が上の方になるほどメールを使うことが増えますし、会社の規模が大手になるほどメールを使う傾向があります。そうすると、コンサルタントもメールで相談を受けることになります。
そこで今回は、メールで相談を受けたときの注意点を少しお話しします。
メールは長文で相談しやすい反面、回答に時間がかかる
チャットは短いやり取りをするものですが、メールだとどうしても一通が長くなってしまいます。ですが、長いメールに対して長い回答をするのは結構大変です。
そこで良い対策法の一つが、インラインで回答するというやり方です。インラインというのは、相手の文章を引用してそれに対して回答していくというものです。
届いたメールの全文を読んでから回答するとなると大変なので、「インラインで読みながら回答します」と最初に伝えてしまいます。そして質問についてその場で返していけば、こちら側も読み返さずに回答ができるので、結果的に回答速度が上がります。
ただ、読みながらなので、前に回答したことと同じ答えが出ることもあります。そのときは、「これは上の質問で回答済みですので、次に行きます」と伝えるといいでしょう。
メールの本数が増えても本文が短い方が早く対応できる
私が天才塾の会員の方にお伝えしていたのは、「早い回答をご希望の場合は、1つのメールに質問を10個入れるより、10通に分けてメールを送ってください」ということでした。
ポイントは、メールの本数が増えても構わないということと、どんな質問の仕方でも自由だということも合わせてお伝えするということです。こうすることで、実際にいただく質問は短文のものが多くなりました。
そうすることでメールの件数自体は増えます。一時期は、相談や回答など色々なものを含めて、1日300通以上のメールを読んで、100通以上のメールを書いている頃もありました。それをほぼ365日24時間していたので、メールの処理能力はかなり高くなったと思います。
その頃、元ライブドアのCEOである堀江貴文氏が「自分は1日5,000通メールを処理している」と言っているのを何かの本で読んだことがありました。それを読んでから「5,000通は無理でも、自分もその1/10はいけるかな」と思っていたので、1日数百件のメールの対応は大変ではありましたが、辛いという気持ちはありませんでした。
「質問で質問を返す」も有効
回答のペースを維持するために、質問に質問で返すというのも一つの方法です。例えば「今後システムが変わることで士業の仕事がなくなるというニュースがありましたが、横須賀さんはどう思われますか?」というような質問を受けることがあります。
そういった質問については、「先生はどうお考えですか?先生の考えをお聞きして、私の意見もお伝えしたいと思います」というように回答をし、相手にボールを投げ返すということをしていました。
「こういうビジネスをしようと思っていて、折り込みチラシを撒こうと思うんですが」というような相談もたくさん受けます。普通なら、「折り込みチラシはこういう性質があって、B to Cに効果が出やすいですね」といような回答をします。
ですが、まだ相談者がマーケティング的な本質を掴めていないと感じたときには、「なぜ折り込みチラシなんですか?」とまず質問で返したりもします。
質問で返すことによって、相手の考えやある程度の度合いが分かります。そこで「個人向けの事業なので折り込みチラシがいいと思いました」と返ってきたら、B to CとB to Bの違いは理解されてるんだな、とこちらでもレベル感を把握できます。これがよくLClabでも説明する「スライド回答」の一つです。
メールの向こうにいる「人」を意識する
それから、メールの向こうに人がいることを意識することも大事です。その人のことを考えながら、もしも会ったことがなければ想像しながら回答を書くということ。例えば、相手が開業したてなのであれば、最初に一言「おめでとうございます」とつけるとか。些細なことかもしれませんが、そういった気配りは大事です。
相談が送られてきた時間帯とか、本文の誤字脱字の程度とか、そういうところでも、どんな状況なのかはわかったりします。急いでいたり焦っていたりする時は誤字脱字が増えますから。「今少し焦っているのかな」とか、感じ取れるようになるとさらにいいですね。
コンサルタントなら、自分の型のようなものを作るのもポイントです。メール回答に限らず、色々なことを体系化していって、型というか、定義というか、そういうところを定めていくというのが、コンサルタントとして上手くいくコツかなと思います。
コンサルタントがメールで相談を受けるときの注意点についてお話ししました。ぜひ日々のコンサルティング業務に役立ててみてください。
横須賀 輝尚
▶人気記事:コンサルタントの模範解答51 あなたならどう答える?
DATA:
32歳(男性)東京都出身/現在の仕事はウェブデザイナー/
22歳から26歳までビジネス什器の営業を担当/
26歳から31歳までIT系企業でウェブ制作を担当/
32歳で独立開業
メイン商材:ウェブ制作、バナー等デザイン業務